学生、特に理系の方向けのフリーソフトの紹介です。
私自身学部4年生までは全く聞いたこともなかったMendeleyというフリーソフトですが、学術論文を読む人ならお馴染みのソフトウェアですよね。卒論を書くときかなりお世話になったんだよなぁ。
今回はMendeleyについて、ざっくりとした使い方とWordで簡単に参考文献を挿入する方法を紹介します。
Mendeleyとは
Mendeleyとは、学術論文などの文献管理やオンラインで文献の共有ができるフリーの文献管理ソフトです。音楽でいうところのiTunesみたいなやつで、Windows、Mac、Linuxなんかにはちゃんと対応しています。iOS版もあります。
文献の管理やクラウド上にpdfファイルを保存する点だけならDropboxで十分じゃないの?って思う人もいるかもしれないけど、こいつの凄さはこんなもんじゃない。
具体的には何が凄いかというと、pdfファイルを読み込むと勝手に文献情報(タイトル、著者、ジャーナルなど)を取り込んでくれる点やある程度は文献情報をMendeleyで検索できる点など。
しかしこいつが真価を発揮するのは、やはり論文等を書く人がWordとかで参考文献を挿入するときだと思います。もはやMendeleyを使わないという選択肢が考えられないレベル。
「じゃあMendeley最強じゃん!」っていわれるとフリーソフト故に残念なところもあるんです。
というのも日本語版が無く、かつ日本語キーワード検索がそんなに強くない。学生の方はどうせ読む論文も英語だからと割りきった方がいいでしょう。またフリーで使える容量制限は1GBまでという制限もあります。
似たようなフリーソフトとしてZoteroとかも有名です。大学が開発したオープンソースのソフトフェアで、もとはFirefoxのプラグインとしてのみ機能していたけど現在ではスタンドアローン版も出ているそうです。
有料ソフトとなるとEndnoteが有名で使い勝手がいいらしいですがびっくりするくらい高価です。
Mendeleyの使い方
前述のとおりWordで参考文献の挿入ができる程度を目標にします。
詳しく知りたい人は筑波技術大学視覚障害系図書館様が非常に分かりやすいマニュアルをあげているのでこちらを参照に。
今回はWindows7、Microsoft Word 2010、Mendeley Desktop 1.13.6での場合を解説しますが、バージョンが違ってもだいたい同じなのでなんとかなるかと思います。
Mac、Linuxの人はあまり参考にならないかと。
MendeleyはDropboxなんかと同じようにアカウントを取得すればオンラインで利用できるようになります。またデスクトップ版をダウンロードすればオフラインでも利用することができます。デスクトップ版をダウンロードしましょう。
デスクトップ版のダウンロードはこちらから。
https://www.mendeley.com/download-mendeley-desktop/
web上で利用するだけならこちらからアカウント取得するだけで大丈夫です。
http://www.mendeley.com/
ダウンロードできたらセットアップウィザードに従ってインストールします。
Mendeleyを開くとこんな画面が出てきます。
既にアカウントを取得していればSign In、まだならRegisterでアカウントを作りましょう。研究分野は近いものを選んでおけば問題ないかと。Sign InするとチュートリアルみたいなのがでてくるけどSkipして構いません。
メインウインドウが開き、準備完了。
ライブラリに新たな文献情報を追加するにはいろいろ方法があります。ローカルにあるpdfファイルを読み込む方法、マニュアルで作製する方法、webから拾ってくる方法、Mendeleyから検索する方法など。
とりあえずは文献はライブラリに追加していくので、左にある"My Library"を選択しておいてください。
最初から分かりやすく管理したい人は先にフォルダを作っておき直接文献情報を追加した方が楽です。
この場合はまずツールバーの"Folders"の"+"をクリックもしくは"My Library"の"Create Folder"をクリックしてフォルダ名を入れてフォルダを作成し、このフォルダを選択した状態で文献情報を追加するとフォルダに直接追加されます。後からでもできるから必要なときに整理したらいいかとは思います。
ツールバーの"Add Files"からファイル元を参照、または単純にドラック&ドロップするだけで文献を取り込んでくれます。すごく簡単。
見事に文献情報の読み込みに成功。Abstractとかまで読み込んでくれているのには驚愕します。
ここで登録情報に間違いがないかくらいは確認しておきましょう。今回は人名がおかしくなってしまったので修正。
読み込みがうまくいかない場合は仕方ないので論文やジャーナルのページの情報を確認して手動で打ち込みます。
この方法ではpdfファイルを同時にアップロードできるため、Mendeley上でこの論文を閲覧できるようになります。付箋とか便利なツールがたくさんあるので遊んでみてください。
なおpdfファイルをアップロードしないもしくは消去しても文献情報のみを管理(当たり前だが本文の閲覧はできない)することは可能なので、ストレージを節約するためには有効な手段だと思います。
ツールバーの"Add Files"横の矢印から"Add Entry Manually"を選択。するとマニュアル入力画面が出てくるので必要な情報を入力してください。
ここで"Type"をBookやThesisなどにすることで参考書や学位論文などの文献情報をMendeley上で管理することもできます。つまり参考文献として参考書や学位論文などを挿入することも容易にできることが想像できると思います。
Web Importerというものを使います。まず準備としてメニューバーの"Tools"にある"Install Web Importer"をクリックすると下のスクショのようにブラウザが立ち上がるので、赤丸の部分をドラック&ドロップでブックマークバーまで持っていきます。Webの方にも詳しく書いてあります。
画像はChromeですがIE、Firefoxでも同じようにできます。
続いて文献情報の欲しいwebページに行き、そこで先ほど作った"Save to Mendeley"をクリックすると下のようになるため"Save"を選択するとMendeleyに保存されます。Mendeleyのツールバーの"Sync"で同期すればMendeley上に反映されます。
なお、サポートしているwebサイトはWeb Importerを入れるページの下の方に書いてあります。アマゾンって何に使うんだよwww
Literature Searchというわりと新しい機能を使います。例えるなら無料のiTunesストアみたいなもん。
まず上の検索バーに適当に検索したい文字列を入れるといろいろな論文が出てきます。タイトルの横にダウンロードマークが付いているものはファイルまで一緒にダウンロード可能。
ここで先ほど文献追加した論文と同じ論文がライブラリにないよって出てるけど、よく見たらタイトルにピリオドがついているため別の論文と判断されてしまったみたいです。こういうところは融通が効かないかもね。
一応この画面で"Save Reference"をクリックするとライブラリに追加されます。
ついでだからファイルがダウンロードできるやつも試してみます。
無事にpdfファイルが保存され、ライブラリに追加されました。
文献の管理については直感でできると思うので今回は省略。フォルダを分けて整理したり、Mendeley内で検索できたり、グルーブを作ってシェアしたりと本当に機能充実しているので遊んでみたらいいでしょう。
気が向いたら更新するかも。
今回はWord 2010を扱っていますが、2007でもほぼ同じなのは確認済み。2013でも同じなんじゃないかな。
まず準備としてメニューバーの"Tools"にある"Install MS Word Plugin"を選択。これだけでWordの参考試料のところにMendeleyのツールバーが追加されます。
Styleが変なのになっていると引用の仕方が気持ち悪いことになるのでここではとりあえずNatureを選んで話を進めます。Styleについては後述。
さっそく参考文献を挿入してみます。雑ですが次の文章に引用をつけていきます。引用論文のチョイスはLiterature Searchで適当にとったやつなのであんま気にしないでね。
まずは引用を入れたいところにカーソルをもっていき、"Insert Citation"をクリック。すると次のウインドウが出てきます。
ここに著者やタイトルなんかを入れてやれば自分のMendeleyのライブラリから候補として出てくるので、それを選択。覚えていなかったら"Go To Mendeley"をクリックすると自分のMendeleyのライブラリにとぶので、そこから選択してツールバーの"Cite"をクリックすればOK。
これだけでは何を引用しているのか分からないので、文献情報を記述しないとダメですよね。そこで文献情報を挿入したい場所にカーソルをもっていき、"Insert Bibliography"をクリックすると簡単にできます。
この後に他の箇所にも引用をつけていくと、勝手に参考文献が追加されていきます。やっぱりこの辺りがこいつの一番凄いところだと思います。
今回は同じ箇所に複数の文献からの引用をつけてしまったため、引用番号が連なって見づらくなってしまいました。これが10個くらいついたらさぁ大変。
そんなときは連なっている引用番号すべてを選択すると、ツールバーの"Insert Citation"が"Merge Citation"に変化し、これをクリックすると番号がまとまりスッキリします。
ここで、次のように文章を追加し引用番号1と2の間に新たに引用を付けたくなってしまったとします。
新たな引用をつけるとその引用番号以降をすべて修正しなければならないと思うかもしれませんが、もちろん間にちゃんと挿入してくれます。
次は引用番号を消してみます。すると引用番号が連続でなくなり、しかも文献情報は残ったままとなってしまいました。こんな時はツールバーの"Reflesh"をクリックするときちんと修正してくれます。
一方文献情報は消してもRefleshすると復活するので、微妙に文献情報を修正するのであればMendeley上で修正するか、論文を提出する直前にWord上で書き換える必要があります。
ここまでで参考文献の挿入自体は問題なくできるかと思います。
最後に引用のスタイルについて。
これは専門や人によって異なると思うので、"Style"から自分の好きなジャーナルの引用スタイルを選んだらいいと思います。デフォルトで入っている引用スタイルに気に入ったものがなければMendeleyからインストールできます。
具体的には、"More Styles"を選択するとMendeleyのウインドウが開くので、上の"Get More Styles"を選択し好みのものを検索、選択しインストールします。インストール後、"Installed"に追加されているので選択して"Done"をクリックすれば完了。
ちなみに私は卒論でAmerican Physics Societyを採用しました。個人的にはスッキリしていて好み。
以上、Mendeleyの簡単な使い方講座でしたがどうでしたか?とても便利なのが分かっていただけたかと思います。
学生なら誰しもがやってくる卒論・修論という大変な作業においてMendeleyが使えるか否かで労力がだいぶ変わってくるかと思います。気になった方は試してみてください。
レポート・論文の書き方入門 河野 哲也 慶應義塾大学出版会 2002-12-13 |